ドイツ連邦陸運局(KBA)が5日発表した9月の乗用車新車登録台数は前年同月比0.1%減の22万4,502台とわずかに落ち込んだ。減少は8カ月ぶり。これまで全体をけん引してきた電気自動車(BEV)が企業向け補助金の打ち切りで大幅減に転じたことが響いた格好だ。
乗用車新車登録はコロナ禍前の19年9月比では8.2%縮小した。1~9月も前年同期比は14.5%増の213万8,066台と大きく拡大したものの、19年同期比では22.0%減少した。
9月の新車登録を動力源別でみるとBEVは28.6%減の3万1,714台へと落ち込んだ。購入補助金の支給対象が9月から一般消費者に制限されることを見据え、8月に企業の駆け込み需要が殺到(前年同月比170.7%増)。9月はその反動で落ち込んだ。
プラグインハイブリッド車(PHV)を含むハイブリッド車(HV)は5.9%増の7万3,178台に拡大したものの、今年初に補助金が全面打ち切りとなったPHVは45.7%減の1万5,383台とこれまでに引き続き振るわなかった。純粋な内燃機関車はガソリン車が9.1%増の7万8,989台、ディーゼル車が4.6%増の3万9,900台だった。
シェアをみると、BEVは前年同月の19.7%から14.1%へと大きく低下した。HVは30.4%から32.6%に拡大。PHVは12.6%から6.9%へと大幅に低下した。内燃機関車はガソリン車が32.2%から35.2%、ディーゼル車が17.0%から17.8%へとともに上昇している。BEVとPHVの合計は21.0%、BEVとHVは同46.7%だった。
走行1キロメートル当たりの新車の二酸化炭素(CO2)排出量は前年同月比12.4%増の119.8グラムと大幅に増えた。BEVとPHVの登録比率が急低下したことが反映されている。
主要3部門のシェアではトップのSUVが31.4%から30.3%へと縮小した。2位のコンパクトカーは0.1ポイント増の16.1%、3位の小型車は0.9ポイント増の13.4%だった。
伸び率が最も大きかったブランド(台数が極端に少ないものを除く)は前月同様スマートで、137.4%増の819台を記録した。これにジープ(96.7%増の1,383台)、スバル(80.2%増の510台)が続いた。
スマート以外のドイツ車はオペルが25.9%増の1万4,068台、ミニが12.5%増の3,517台と2ケタ台の伸びを記録。BMW(7.7%増の1万7,720台)、メルセデス(5.3%増の2万1,125台)、アウディ(4.9%増の1万7,902台)、VW(4.1%増の4万2,044台)も前年同月を上回った。ポルシェ(5.6%減の2,280台)とフォード(16.2%減の9,292台)は減少した。
スバル以外の日本車ではスズキが50.6%増の2,852台、レクサスが45.6%増の345台、日産が40.6%増の2,875台、マツダが11.9%増の4,766台へと拡大。三菱は0.5%減の2,100台、ホンダは7.2%減の683台、トヨタは19.8%減の5,633台へと落ち込んだ。
日本車以外の主な輸入ブランド(シェア1%以上)をみると、プジョー(57.7%増の5,041台)、シトロエン(41.2%増の4,014台)、セアト(36.4%増の1万1,522台)、ボルボ(35.5%増の3,194台)、フィアット(8.1%増の6,269台)は増加。ルノー(9.4%減の5,105台)、起亜(12.1%減の5,382台)、シュコダ(12.8%減の1万2,765台)、現代(21.9%減の7,127台)、ダチア(23.2%減の3,933台)、テスラ(69.3%減の4,216台)は減少した。
中国ブランドはGWM(長城汽車)が333台、BYD(比亜迪汽車)が196台、NIO(蔚来汽車)が80台、AIWAYS(愛馳)が0台だった。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した9月の乗用車国内生産台数は34万500台となり、前年同月を8%下回った。輸出台数も5%減の26万5,500台と減少している。1~9月は生産台数が前年同期比22%増の310万7,800台、輸出台数が22%増の234万100台だった。