軸受大手シェフラーがパワートレインのヴィテスコ買収へ

軸受大手の独シェフラーは9日、独パワートレイン大手ヴィテスコを買収する意向を表明した。電動車の分野で主要なプレイヤーとなることが狙い。株式公開買い付け(TOB)を実施したうえで、ヴィテスコを吸収合併する考えだ。

ヴィテスコを1株当たり現金91ユーロで買収する。これは過去3カ月間の加重平均株価を約20%、前営業日に当たる6日の株価を約21%上回る水準で、同社を36億4,000万ユーロと評価したことになる。株式取得手続きを2024年1月に完了したうえで、同年第4四半期にヴィテスコを自社に統合することを目指している。

買収が実現すると、シェフラーは売上高が90億ユーロ増の250億ユーロに拡大し、自動車部品最大手グループへの仲間入りを果たす。統合コストは最大6億6,500万ユーロに上るものの、シナジー効果で26年から1株利益が改善。29年には営業利益(EBIT)が年6億ユーロ押し上げられる見通しだ。

ヴィテスコは、シェフラーが46%出資する自動車部品大手のコンチネンタルから21年に分離・独立した企業。シェフラーのオーナー一族はヴィテスコ株を50%弱、保有している。

独CAR自動車研究センターのフェルディナント・ドゥーデンフェファー所長は証券誌『アクチオネール』に、シェフラーはヴィテスコ同様、内燃機関車向け事業から電動車向け事業への移行を進めていると指摘したうえで、ヴィテスコを買収すれば電動車向け事業の幅を広げることができるとの見方を示した。

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