自動車大手の独BMWは18日、顧客への車両直販体制を欧州市場で導入すると発表した。販売価格を統一することでディーラーの値引きによる値崩れを防ぐほか、顧客ドライバーと直接の接点を持つことでソフトウエアの販売などを促進する狙いがある。
来年から小型車ブランド「ミニ」で導入する。まずはイタリア、ポーランド、スウェーデンの3カ国で1月1日に開始。他の国にも段階的に拡大していく。主力ブランド「BMW」でも2026年に導入する意向だ。ミニのディーラーからはすべて同意を得ている。
顧客はBMWの販売サイトで注文することも、これまで同様にディーラーで注文することもできる。BMWのサイトで注文したモデルは各地のディーラーを通して納車されることから、ディーラーは手数料を得ることができる。ただ、ディーラー自らが販売した場合に比べ、マージンは低下するもようだ。それでも売れ残った車の在庫を抱え込むリスクがないことからディーラーにとってもメリットがある。
自動車メーカーの間には直販を通して価格の値崩れを防ぐ動きが出ている。インターネットの普及を受け、どのモデルの価格がどのディーラーで割安かを消費者が簡単に検索できるようになったことが背景にある。メーカーが直販すれば全国一律の価格を維持できることから、メルセデスやフォルクスワーゲンも販売モデルの見直しを進めている。BMWのピーター・ノタ取締役(販売担当)は4月の時点で、「近い将来、わが社の車両の4分の1はインターネットで直販されるようになる」との見方を示した。