航空機エンジンのMTUが赤字転落、エアバス向け製品の不具合で

航空機エンジン大手の独MTUエアロ・エンジンズが27日に発表した2023年第3四半期(7~9月)決算の純損益は5億6,800万ユーロの赤字となり、前年同期の黒字(9,200万ユーロ)から大幅に悪化した。エアバスの旅客機「A320ネオ」向けに米同業プラット・アンド・ホイットニー(P&W)、日本航空機エンジン協会(JAEC)と共同開発したエンジン「PW1100G-JM」に不具合が見つかったため。同エンジンの大規模な検査プログラムの費用として約10億ユーロを計上したことから赤字に転落した。

PW1100G-JMは米独日の5社が共同で手がけるエンジン。高圧タービン・ディスクと高圧コンプレッサー・ディスクの材料に不純物が混入していたことが9月に明らかになった。これを受け、追加の検査プログラムを実施。23~26年のエンジン整備回数が当初計画に比べ600~700回増える見通しとなっている。また、エンジン取り卸しの増加でスペアエンジンが不足し機材の運航に支障が出るため、補償義務も発生する。

MTUの第3四半期の売上高は15億1,700万ユーロで、前年同期を12.5%上回った。営業利益(EBIT、調整済み)は21.5%増の1億9,200万ユーロに拡大。売上高営業利益率は前年同期の11.7%から12.7%に上昇した。

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