セルビア政府と欧州委員会が9月22日に、バッテリーおよび重要材料(含リチウ
ム)における戦略提携に向け、基本合意書を交わしていた事実が、セルビアの非政
府組織(NGO)「デモスタット」の調べで明らかになった。同国では昨年1月に英豪
資源大手リオ・ティントによるヤダル渓谷リチウム開発免許が住民の反対を受けて
取り消された経緯がある。このため、環境保護団体や地元住民は、政府と欧州委が
合意を公表せず秘密裏に開発を再開させようとしたと強く反発している。
「デモスタット」によると、欧州委員会の域内市場総局が取材に対し基本合意した
ことを認めた。環境破壊をめぐる地元の懸念については、セルビアが欧州連合
(EU)加盟準備を進めるに当たって、欧州の厳しい基準を国内法化するため、鉱山
分野においても社会・環境面で十分に配慮したプロジェクト運営が可能という立場
だ。
欧州委は今年3月、原材料の調達先を多様化して中国などへの依存を低減するた
め、重要原材料法案(CRMA案)を提案した。現在、立法手続きが進められている。
域内での自給率を高めるため、特定の原材料に関わる事業について、各種手続きを
迅速化することが予定されている。
セルビア西部ロズニツァ近郊のヤダル川流域で発見されたホウ酸リチウム鉱床は、
世界のリチウム埋蔵量の推定10%を占める。