化学大手の独BASFは31日の決算発表で固定資産投資額の大幅引き下げ方針を表明した。世界的な需要の低迷が続いていることを受けた措置で、2023~27年の累計投資額を従来計画より40億ユーロ少ない248億ユーロに切り詰める。マルティン・ブルーダーミュラー社長は「すべてのプロジェクトを秤にかける」と明言した。ただ、100億ユーロを投じて中国広東省に総合生産施設(フェアブント拠点)を建設する計画とGX(グリーントランスフォーメーション)計画については予算を削減しないとしている。
23年第3四半期(7~9月)の純損益は2億4,900万ユーロの赤字となり、前年同期の黒字(9億900万ユーロ)から大幅に悪化した。放出予定の天然ガス・石油採掘子会社ヴィンタースハル・デーエーアーで引当金を計上したことなどが響いた。
売上高は157億3,500万ユーロで、28.3%減少した。販売量の減少と出荷価格の大幅低下が反映されている。減収幅はすべての部門で2ケタ台に達した。
営業利益(EBIT、特別費計上前)は57.3%減の5億7,500万ユーロに後退した。ケミカル(石油化学、中間体)が85.6%減、産業ソリューション(ディスパージョン&顔料、パフォーマンスケミカルズ)が59.1%減、マテリアル(機能性材料、モノマー)が43.0%減と振るわなかった。
農業技術は651.5%増、表面技術(触媒、コーティング剤)は7.4%増と増益を確保した。農業技術では比較対象である22年第3四半期の利益水準が極めて低かったことから、伸び率が大きくなった。