ドイツ連邦カルテル庁は7日、半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が独東部のドレスデンに建設予定の工場に半導体大手の独インフィニオン、ボッシュ、蘭NXPが出資する計画を無条件で承認したと発表した。カルテル法上の問題はまったくないと判断した。ドイツ政府が同工場に巨額補助金を交付する計画は欧州連合(EU)の欧州委員会が審査するため、今回の審査の対象となっていない。
TSMCは8月、新会社ヨーロピアン・セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(ESMC)を設立してドレスデンに半導体工場を設置する計画を発表した。ESMCにはインフィニオン、ボッシュ、NXPがそれぞれ10%出資する計画となっている。
カルテル庁は今回の審査で、欧州半導体3社がESMCに出資することで(1)他の企業が半導体チップを入手できなくならないか(2)TSMCと競合する半導体受託製造企業が十分な規模の販売先を喪失しないかどうか――を吟味した。特にインフィニオン、ボッシュ、NXPの3社が主要プレイヤーとなっている車載マイクロコントローラー(MCU)の分野に重点を置いた。審査の結果、これらの懸念が解消されたことから出資を承認した。
アンドレアス・ムント長官は「近節の地政学的な激変は半導体への安定的なアクセスが独製造業にとっていかに重要かを明らかにした」と述べ、半導体工場の誘致に注力する独・EUの精力的な取り組みに理解を示した。