欧州中央銀行(ECB)の利上げに伴う市場金利の上昇が、銀行の財務を悪化させる懸念が浮上している。ドイツ連邦銀行(DB)のクラウディア・ブーフ副総裁は23日、金融機関が保有する債権が持つ潜在的なリスクに注意を促した。経済紙『ハンデルスブラット』が報じた。
同氏は、金利の大幅上昇の効果で利益が改善した金融機関が多いとしたうえで、保有債権が新たなリスク要因となっていることを指摘した。
低金利時に銀行が取得した債権(旧債券)は利回りが低い。一方、利上げ開始後に発行された債権(新債券)は利回りが高い。このため、旧債券の市場価値は目減りしており、売却すれば損失が発生する。塩漬けにしておけば損失にならないものの、潜在的にはリスク資産と化している。売却損を回避するため手元にとどめる結果、銀行の資金繰りが悪化するリスクもある。
旧債券は経営規模の小さい金融機関が多く保有している。同氏によると貯蓄銀行と共同信用組合の3分の2がこの問題に直面している。