持続可能な炭素材料の製造を手がけるエストニアのUPカタリストがこのほど、シー
ドラウンドで400万ユーロを調達した。生産能力の拡大が目的。量産体制に向けた
パイロット設備を導入し、生産規模を現行の10倍に引き上げる。
UPカタリストは煙道ガスを材料に、再生可能エネルギーを100%利用して黒鉛を作
り出す。新設備は年間、100トンの二酸化炭素(CO2)から27トンのカーボン材料を
生産する。実現すれば、同社はグリーン・グラファイトの生産能力で世界一とな
る。
UPカタリストは2030年までに、年間で30万トン(電動車4万台分のバッテリーア
ノードに相当)を生産できる体制を整える計画だ。
同社製の黒鉛は煙道ガスに含まれる二酸化炭素(CO2)が原料となり、CO2排出量は
マイナスになる。30万トンを生産するためには、100トンのCO2を回収することにな
る。
黒鉛は需要の急速な拡大で、30年までに世界で年間70万トンが不足する予想だ。主
要供給元の中国が今月から輸出制限を発表するなど、欧州でも改めて調達先の確保
が重要課題として認識されている。このため、UPカタリストのグリーングラファイ
トが欧州バッテリー業界で重要な位置を占める可能性は小さくない。EUは現在、黒
鉛需要の99%を輸入に頼っている。
今回のシードラウンドでは、ドイツの環境技術投資会社エクスタンティアがリード
インベスターを務めた。エストニアの政府系基金スマートキャップのほか、既存株
主のサンリー(再可エネ開発事業者)、リトル・グリーンファンド、スコティッ
シュ・バルティック・インベスト、タルトゥ大学系のユニタルトゥ・ベンチャーズ
が出資した。