エネルギー大手の独ユニパーは8日の臨時株主総会で減資を決議した。国の支援からの脱却に向けた措置。マイケル・ルイス最高経営責任者(CEO)は国が同社からいつどのような形で資本を引き揚げるかは未定だとしながらも、国の支援を脱却すれば配当を再開できるようになるとして、今回の決議はその実現に向けた重要な一歩だと強調した。
ユニパーはドイツ最大の天然ガス輸入会社。ガスの大半をロシア国営のガスプロムから長期契約に基づいて調達してきたが、ウクライナ戦争に伴う欧米の制裁への報復措置としてガスプロムが供給を縮小・停止したことから、極めて割高なスポット市場でのガス購入を余儀なくされ、財務が急速に悪化した。ユニパーが経営破たんするとドイツのエネルギー供給に大きな支障が出ることから、政府は昨年12月に同社を国有化し、総額130億ユーロ強の資金を注入した。
業績は今年に入って好転している。1-9月期の純損益(調整済みベース)は37億4,100万ユーロの黒字となり、前年同期の赤字(34億4,500万ユーロ)から大幅に改善した。石炭・ガス発電とガス輸送事業分野の先渡取引がプラス効果を発揮していることが大きい。
ルイス氏によると、減資は3段階に分けて行われ、資本金は現在の約140億ユーロから約4億1,600万ユーロに減少する。国は欧州連合(EU)の欧州委員会から、出資比率を現在の99.12%から2028年までに25%プラス1株まで引き下げることを義務付けられている。