世界最大の海運会社であるスイスのMSCは12日、ハンブルク港運営会社HHLAのA株を対象に実施した株式公開買い付け(TOB)で約9.74%を確保したと発表した。すでに保有する株式と合わせると21.95%に上る。HHLAの過半数資本を持つ地元ハンブルク州とMSCのHHLAに対する出資比率はこれにより計92.30%へと拡大する。出資比率が90%超えた場合は他の株主から株式を強制的に買い上げるスクイズアウトを実施できることから、両者はこの権利を行使し、HHLAを合弁化する意向だ。
HHLAの資本は公開株であるA株と非公開株のS株で構成されている。S株は不動産部門を対象とするものでハンブルク州が100%保有する。これに対し、港湾事業部門を対象とするA株は同州の出資比率が約69%で、残りは機関投資家が約21%、個人投資家が約10%を保有してきた。
州政府は港湾事業部門をMSCと合弁化することで合意。MSCは7日までA株のTOBを実施した。
両社の計画によると、TOBの終了後、ハンブルク州は保有する全A株をMSCが新設した完全子会社ハンブルク港出資会社に譲渡。代わりにハンブルク港出資会社の株式50.1%を取得する。ハンブルク港出資会社がA株を100%取得した場合、港湾事業部門はHHLAとMSCの合弁となる。MSCとハンブルク州の取引は当局の承認などを経て来年第2四半期に完了する見通しだ。