欧州連合(EU)の欧州委員会は8日、スウェーデンのスタートアップ企業ノースボルトがドイツ北部のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン(SH)州ハイデに車載リチウムイオン電池セルの巨大工場(ギガファクトリー)を設置するプロジェクトへの公的支援を承認したと発表した。
ノースボルトは2022年3月、ハイデ工場の建設計画を発表した。年産能力は電気自動車(BEV)およそ100万台分に相当する60ギガワット時(GWh)で、投資額は45億ユーロ。26年の生産開始を予定している。
公的支援は総額9億200万ユーロで、内訳は補助金が7億ユーロ、公的保証が2億ユーロ。補助金は国が約5億6,400ユーロ、地元SH州が1億3,700ユーロを拠出する。
ノースボルトは米国のインフレ抑制法(IRA)成立を受け、米国での工場建設を優先し、ハイデ工場建設を先送りする可能性を22年秋に明らかにした。これに危機感を持ったドイツ政府とSH州政府は同社と集中協議を開始。補助金の上乗せを確約したことから、ハイデ工場の建設を計画通りに進めることにした。
欧州委は声明で、「(ドイツの)この助成がなければノースボルトは工場を米国に建設していた」との見方を示した。同委のマルグレーテ・ベステアー上級副委員長(競争・デジタル政策担当)によると、欧州域外への投資流出を防いだ助成措置は今回が初めてという。