ICT市場が今年は4%拡大見通し

情報通信業界連盟(Bitkom)は10日、ドイツの情報通信技術(ICT)市場が2024年は前年比4.4%増の2,243億ユーロとなり、これまでに引き続き拡大する見通しを発表した。ラルフ・ヴィンターゲルスト会長は、地政学危機や財政削減など市場環境は厳しいとしながらも、「情報通信業界の企業の大半は危機に強い」と明言した。

全体をけん引するのは情報技術(IT)で、6.1%増の1,515億ユーロに拡大する。特にソフトウエアは9.4%増の455億ユーロと伸び率が大きい。人工知能(AI)が38.3%増の14億ユーロと全体をけん引する見通しだ。ヴィンターゲルスト氏は、「企業は現在、AIに取り組み、そのプロジェクトを策定したり技術に投資している」と指摘したうえで、「AIは2024年のトップテーマだ」と明言した。コラボレーションツール(14%増の16億ユーロ)とセキュリティソフト(13%増の39億ユーロ)も大きく伸びる。

ITサービスは4.8%増の517億ユーロとなる見通し。クラウド関連(17%増の177億ユーロ)の伸び率が特に大きい。

ITハードウエアは4.6%増の544億ユーロとなり、2年ぶりに拡大する。23年はコロナ禍特需の反動で5.4%減(見通し)と振るわなかった。24年の伸び率が最も大きい分野はIaaS(サービスとしてのインフラ)で、24.5%増の58億ユーロに拡大。これにワークステーション(17.8%増の10億ユーロ)、ウエアラブルデバイス(15.7%増の29億ユーロ)が続く。

通信技術市場は1.0%増の738億ユーロと小幅な伸びにとどまる。通信サービスは1.6%増の526億ユーロに伸びるものの、通信端末は0.2%減の118億ユーロ、通信インフラは1.0%減の84億ユーロと振るわない。

娯楽家電は3.4%減の78億ユーロとなり、4年連続で縮小する。

23年のICT市場規模は2,150億ユーロ(見通し)で、前年を2.0%上回った。内訳はITが2.2%増の1,429億ユーロ、通信技術が1.7%増の721ユーロ、娯楽家電が2.1%減の81億ユーロとなっている。

一方、世界のICT市場規模は今年4兆9,100億ユーロとなり、昨年を5.6%上回る見通し。国別ではインドが7.9%増えて全体をけん引。米国は6.3%増、EUは5.9%増、中国は5.7%増、日本は3.5%増となる。

国別のシェアでは米国が38.0%と断トツで大きく、これに中国が11.4%で続く。3位は日本で4.8%、4位は英国で4.3%、5位はドイツで4.0%、6位はインドで2.5%となる。

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