通信業界特化の生成AI開発へ、独テレコムやSBなど5 社が合弁

ドイツテレコムなど世界の電気通信サービス大手5社は26日、通信業界のニーズに特
化した生成AI(人工知能)を開発する合弁会社の設立で合意した。米オープンAIの
「チャットGPT」など一般向けの大規模言語モデル(LLM)ではカバーできないLLMを
開発し、顧客サービスの質を大幅に改善する狙い。5社は欧州、アジア、オーストラ
リア、アフリカ、北米に計14億人の顧客を持っており、大きなインパクトをもたらし
そうだ。
合弁会社を設立するのはドイツテレコムとソフトバンク、アラブ首長国連邦のエティ
サラート(e&グループ)、シンガポール・テレコム(シングテル)、韓国のSKテレコ
ム。スペインのバルセロナで同日開幕した世界最大の移動通信見本市「モバイル・
ワールド・コングレス(MWC)2024」の会場で「グローバル・テルコAIアライアン
ス」という団体の設立式典を開き、合弁会社の設立を取り決めた。同合弁を年内に設
立し、通信会社の顧客サービスに特化したLLMを開発。デジタルアシスタントとチャ
ボットを通した顧客とのコミュニケーションの質を改善する。まずは英語、ドイツ
語、韓国語、日本語、アラビア語向けにトレーニングを行う。将来的に言語の種類を
増やすことを視野に入れている。
通信会社と顧客ユーザーの会話では例えば、ルーターをリセットするにはどうしたら
良いのか、あるいは料金・契約モデルにはどのようなものがあるか、など業界特有の
情報がやり取りされる。一般的な生成AIはそうした情報にほとんど対応していないこ
とから、5社は業界のニーズに見合ったAIを開発することにした。合弁会社では出資
各社が個々の市場で必要とするAIアプリケーションも開発する。
ソフトバンクの佃英幸専務執行役員(最高技術責任者=CTO)は、「われわれはAIを
ベースに技術革新の新時代を切り開く」と意義を強調した。

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