VWが充電サービスを外部企業に提供

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は5日、欧州子会社エリ(Elli)の充電
サービスをVWグループ外の企業にも提供すると発表した。第一弾として独レンタ
カー大手ジクストがエリのサービスを受ける。将来的には外部の投資家から資金を
調達し、同子会社の事業拡大に充てることも視野に入れている。
エリは2018年、再生可能エネルギー電力の販売事業者として設立された。翌年にVW
グループの個人顧客向けに電動車用充電器事業を開始。その後さらに公共充電サー
ビスに乗り出した。これまではVWグループ車を持つ顧客がサービスを受けてきた。
今後はジクストの顧客もエリが欧州に持つ充電網を、専用アプリを用いて利用でき
るようになる。対象となるのは当初ドイツ、オーストリア、フランス、オランダ、
ベルギー、ルクセンブルクの6カ国。他の欧州諸国でも漸次、利用できるようにな
る。
エリは現在、欧州29カ国で計65万口以上の充電ネットワークを持つ。同社独自の充
電網のほか、提携先であるイオニティ(欧州全域)やアウディ・チャージング・ハ
ブ(ドイツ、オーストリア、スイス)、Ewiva(伊)の充電網が含まれる。
VWは電動車の普及に向けた新規事業の拡大に外部の投資家を活用する姿勢を打ち出
している。事業の拡大が迅速化されるうえ、自社のコスト負担軽減につながるため
だ。米充電インフラ子会社エレクトリファイ・アメリカ(EA)はすでに独電機大手
シーメンスとの合弁に切り替えた。電池子会社パワーコについては新規株式公開
(IPO)を視野に入れている。
エリに関しては20年代半ばが外部の投資家を招き入れる時期になると目されてい
る。損益分岐点の確保が見込まれているためで、同社のジョバンニ・パラッゾ社長
は「今年と来年が弊社とそのさらなる発展にとって決定的な年になる」との見方を
示した。22年は売上高が8,900万ユーロで、6,200万ユーロの赤字を計上している。

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