23年のCO2排出量10%減少、30年目標達成の見通し

ドイツ連邦環境庁(UBA)が15日に発表したの同国の2023年の温室効果ガス排出量
は二酸化炭素(CO2)換算ベースで前年比10.1%減の6億7,400万トンとなり、1990
年以降で最大の下げ幅を記録した。ディルク・メスナー長官は、30年までに90年比
で65%削減するとした法定目標を達成できるとの見方を示した。前年の発表では削
減のスピードを大幅にアップしないと同目標を達成できないとしていたが、評価が
大幅に改善した。
減少率が最も大きかったセクターはエネルギー業で、20.1%減の2億500万トンに縮
小した。景気の低迷とエネルギー価格の高止まりで需要が減少したうえ、再生可能
エネルギーの拡張が進んだことから、化石燃料の使用量が減少。天然ガスなどに比
べCO2排出量が多い石炭・褐炭発電は大幅に減った。
製造業も7.7%減の1億5,500万トンと減少幅が大きかった。景気低迷と生産コスト
の上昇を受け生産が減少したことが背景にある。連邦気候保護法(KSG)で定めら
れた23年の排出目標値に比べ1,800万トン少なく、合格点を獲得している。
建造物も7.5%減の1億200万トンに低下した。エネルギー価格の高止まり、暖冬で
暖房需要が小さかったことが大きい。ヒートポンプ暖房の設置が拡大したこともプ
ラスに働いた。KSGの目標値には120万トン届かなかった。
交通部門は1.2%減の1億4,600万トンだった。景気低迷でトラック輸送が減少した
ことが反映されている。乗用車の利用はやや増えた。電動車の登録台数は増えたも
のの、相殺効果はまだ小さい。KSGの目標値を1,300万トンも上回っており、メス
ナー氏は社用車の税優遇をはじめとする気候に有害な助成策の廃止など適切な措置
を速やかに行う必要があると強調した。
UBAの予測によると、ドイツの排出量は30年には4億3,800万トンに減少する。KSGの
目標値に比べ4,700万トン少なく、目標をクリアできる見通し。ただ、交通と建造
物セクターは達成できないとみている。

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