自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)グループは20日、自動運転技術の有力企
業であるイスラエルのモービルアイとの協業を深化させると発表した。モービルア
イが開発した自動運転機能を高級乗用車ブランドで採用するほか、小型商用車部門
VWヌッツファールツォイゲ(VWN)も「レベル4」の自動運転車向けにソフトウエア
とハードウエアの供給を受ける。将来的にはグループの全ブランド向けに自動運転
システムを独自開発するとしており、それまでの期間、モービルアイの協力を受け
る考えのようだ。
モービルアイとは先進運転支援システム(ADAS)の分野ですでに協業している。今
後はハンドル操作と加減速を支援する「レベル2」、および特定の場所で運転が自
動化される「レベル3」の自動運転分野で協力を受ける。
また、モービルアイは自ら開発した個々の自動運転機能をVWグループの高級車用ソ
フトアーキテクチャー「E3 1.2」採用車向けに提供する。同アーキテクチャーを用
いるアウディ、ベントレー、ランボルギーニ、ポルシェの4ブランドはどの自動運
転機能を採用するかを自らのニーズに基づいて決定する。
VWNはモービルアイの協力を受け、特定の場所での操作が完全に自動化されるレベ
ル4を実現する考え。レベル4に対応した電動マイクロバス「ID.バズ」の2026年市
場投入を目指す。
VWは将来的に、「E3 2.0」という新しいソフトアーキテクチャーを投入し、グルー
プの全ブランドで採用することを計画している。同アーキテクチャーは、グループ
の全ブランドのすべてのセグメントの車両で採用する次世代車台「SSP(スケーラ
ブル・システム・プラットホーム)」向けのもの。同社は今回、E3 2.0向けの自動
運転システムはソフト子会社カリアドが自動車部品大手ボッシュの協力を受けて独
自開発することを明らかにした。
VWは自動運転技術の分野で米クアルコム、中国の地平線機器人(ホライズン・ロボ
ティクス)とも協業している。今回の発表ではボッシュ、クアルコム、地平線機器
人との協業を、的を絞って継続することも明らかにした。