米国とポーランドの企業が合弁、EVバッテリー材リサイクルで

電気自動車(EV)向けバッテリー材料のリサイクルを手がける米アセンド・エレメ
ンツ(Ascend Elements)とポーランドの同業エレメンタル・ストラテジック・メ
タルス(Elemental Strategic Metals)は9日、ポーランド南部のザヴィエルチェ
で折半出資の合弁会社AEエレメンタル(AE Elemental)を設立したと発表した。ま
ずは破砕・選別工程を扱い、2026年からはリチウム回収工程も手がける。加えてド
イツ中部にも工場を設ける計画だ。
合弁事業への投資計画は公表されなかったが、欧州連合(EU)および現地政府の助
成獲得を目指しているという。すでに稼働したザヴィエルチェ工場では、バッテ
リーを解体・放電・破砕してブラックマス(黒色の砂状物質)を生産する。年間処
理能力は1万2,000トン。これはEV約2万8,000台分のバッテリーに相当するという。
ザヴィエルチェには、ブラックマスからリチウムを分離する工場も整備する。年内
に着工し、26年に稼働する計画だ。年間処理能力は2万トンを予定する。
合弁会社はドイツ中部にも年間2万5,000トンのバッテリーを処理するリサイクリン
グ工場を設置する方針だ。関連する許可はすでに取得済みというが、具体的な立地
は明らかにしていない。
アセンドはこれまでの投資ラウンドで総額4億8,000万米ドルを調達したほか、バイ
デン大統領のEVバッテリー生産促進政策の下、米エネルギー省から4億8,000万ドル
の助成を受けている。ジョージア州の工場に続き、ケンタッキー州でも工場を建設
中だ。
エレメンタル・ストラテジック・メタルスの累計調達額は2億9,000万ドルで、近く
次の投資ラウンドが完了する見通し。
欧州連合(EU)は循環型経済へ移行するため、廃電池の回収、原材料の再利用を拡
大する政策を実施している。このことなどから、欧州の電池リサイクル需要が今後
高まると見込まれている。

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