スマホサイズのPCR検査カートリッジ、ボッシュがランドックスと 共同開発へ

IoT大手の独ボッシュは11日、様々な感染症の診断を迅速・高精度に行なう技術の研
究・開発と販売でアイルランドの医療・分析技術大手ランドックス・ラボラトリーズ
と長期戦略協業すると発表した。患者の傍らで医療従事者が分子診断を行うポイン
ト・オブ・ケア(POC)の分野で市場の将来性が高いことを踏まえたもの。速やかな
治療が可能になるとともに、検査に伴う医療機関の人的な負担が大幅に軽減される。
機械要素部品、センサー、アクチュエーター、電子回路を微細加工技術で1つの基板
上に集積化したデバイスであるMEMSをベースに、極めて多くの感染症を短時間で同時
に特定できるPCR検査技術を開発する。患者の検体をスマートフォンサイズの小さな
カートリッジに移して分析器にかけるだけで、感染源が判明する。ボッシュが開発し
たバイオMEMS(ライフサイエンス分野で使用されるMEMS)では、変異や薬剤への耐性
を含め感染源の特性を最大250種類、特定できるという。
合併症につながる懸念のある敗血症の分野に照準を合わせる。長期的にはガン診断分
野への進出も視野に入れている。
ボッシュは今回の協業に分子診断、マイクロチップの開発・製造、製品小型化のコン
ピテンス、ランドックスは体外診断検査製品の設計・開発のノウハウをそれぞれ持ち
寄る。投資額は両社合わせて1億5,000万ユーロ。2030年までに売上高で数億ユーロを
実現する目標だ。
両社は新型コロナウイルス感染症の全自動PCR検査技術で協業した実績がある。

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