ティッセンが鉄鋼生産能力削減へ、主力工場で人員整理

独複合企業ティッセンクルップの鉄鋼子会社ティッセンクルップ・スチール・ヨー
ロッパ(TKSE)は11日、事業縮小方針を発表した。鉄鋼業界を取り巻く環境の変化
を受けたもので、生産能力を大幅に削減。競争力と収益力を引き上げる。
欧州の鉄鋼業界が置かれている状況は厳しい。景気低迷のほか、脱炭素規制の強
化、エネルギー価格の上昇、中国など域外からの安価な製品の長期流入といった構
造問題を抱えているためだ。
TKSEの鉄鋼生産能力は現在およそ1,150万トンに上る。生産実績を大幅に上回って
いることから、経営陣はこれを過去3年間の実績に相当する900万〜950万トンへと
縮小する意向だ。
具体的にはデュースブルクにある主力工場で粗鋼生産能力を引き下げる。これに伴
い粗鋼生産と川下の加工工程、管理、サービス分野で人員削減を行う。人員整理の
規模は未定で、従業員代表との協議を通して今後、決めることになる。
TKSEの雇用規模は2万7,000人。デュースブルク工場はその約半数の1万3,000人に上
る。同工場では労協定で2026年3月まで整理解雇を実施できないことから、希望退
職など他の手段で削減を進めることになる。
ティッセンは経営の重荷となっているTKSEの分離を目指している。TKSEの収益力改
善はその前提を作り出す措置で、プレスリリースには「自らの稼ぐ力で持続的に資
金を調達すること、そうすることで資本市場での能力を改善することは原則的に
ティッセンクルップ・スチールの戦略目標であり続ける」と明記されている。

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