BASFの廃電池精錬プロトタイプ施設が操業開始

化学大手の独BASFは16日、使用済みリチウムイオン電池などから正極材材料を取り
出すプロトタイプの精錬施設が独東部のシュヴァルツハイデ工場で稼働を開始した
と発表した。電池にリサイクル材料を用いると二酸化炭素(CO2)の排出量を大幅
に低減できることから、欧州連合(EU)では廃電池から材料を回収し再生利用する
ことが義務付けられる。同社の電池材料・リサイクル事業統括責任者は「わが社が
再獲得する金属は電池バリューチェーンの真にローカルな循環経済を可能にする」
と意義を強調した。
BASFは1月、スウェーデンのリサイクル大手ステナ・リサイクリングと包括協業合
意した。それぞれの強みを持ち寄り電動車用電池リサイクルのバリューチェーンを
欧州に構築。電池・自動車メーカーのカーボンフットプリント改善を支援してい
く。
ステナは廃電池と電池製造工程で発生するスクラップの収集から評価、前処理、機
械処理による黒い粉末の生産までをスウェーデン南部のハルムスタードで実施。
BASFはシュヴァルツハイデ工場のプロトタイプ精錬施設で黒い粉に化学処理を施
し、リチウムイオン電池正極材料のリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、銅
を取り出す。将来的に商業生産を行う意向だ。
再生原料を用いると正極材の生産で発生するCO2の量はバージン原料を使用する場
合に比べ最大60%減少する。自動車メーカーは自社モデルのカーボンフットプリン
ト削減に取り組んでいることから、再生原料を使用した正極材への関心は大きい。

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