電動キックボードのレンタルが独でも禁止に

ドイツ西部のゲルゼンキルヒェン市で電動キックボードのレンタルサービスが20日以
降、全面禁止されることが分かった。市当局が課した事業免許更新の条件をレンタル
事業者が拒否したためだ。レンタル事業者は市の決定を不服として訴訟を起こしたも
のの、一審のゲルゼンキルヒェン行政裁判所が仮処分申請を棄却したことから、差し
当たりサービスを提供できなくなった。欧州ではフランスの首都パリで電動キック
ボードのレンタルが昨年9月に禁止された。ドイツでは今回が初めて。公共放送WDRな
どが報じた。
レンタル電動キックボードは利用者が交通ルールを守らなかったり、通行の邪魔にな
る場所に乗り捨てるなどの問題を引き起こしている。ゲルゼンキルヒェンでも路上に
乗り捨てられていたキックボードに夜間走行中の自転車が衝突して運転者が死亡する
事故や、キックボードの運転者が2歳半の女児の頭部に重症を負わせてひき逃げする
事件が起きた。
市当局は偽名でもレンタル登録が可能なことが電動キックボードの無責任な運転・乗
り捨ての大きな原因になっていると判断。登録時に身分証明書で身元を確認するルー
ルの導入を決めた。身元を特定できないことが事故の捜査の支障になっていることも
考慮した。
同市で電動キックボードのレンタル事業を展開するボルトとティアが受け入れを拒否
したことから、当局は3月末で失効する事業免許の更新申請を棄却するとともに、4月
20日までに公共の交通区域からレンタル車両をすべて撤去することを命じた。
両社はこれを不当として命令の差し止めと、当面の事業継続の仮処分を求めて提訴し
たものの、ゲルゼンキルヒェン行政裁は仮処分請求を15日に棄却した。抗告は認めら
れているものの、両社はレンタル車両を差し当たり撤去した。ボルトとティア以外に
はゲルゼンキルヒェンでレンタル業務を展開する事業者がないことから、同市では現
在、電動キックボードのレンタルサービスが利用できなくなっている。
市の広報担当者によると、今回の措置に対しては他の自治体が関心を示しており、多
くの問い合わせがあるという。

上部へスクロール