建材大手クナウフがロシアから撤退へ

建材大手の独クナウフは22日、ロシア市場からの全面撤退方針を明らかにした。「現
在の展開を背景に決断した」としているが、撤退の具体的な理由は明らかにしていな
い。同国のウクライナ侵略開始から2年以上が経過したにもかかわらず現地事業を継
続していることへの批判を踏まえた措置との観測がある。
クナウフは世界に計300以上の工場を持つ世界的な建材メーカーで、従業員数は約4万
人に上る。2022年の売上高は154億ユーロだった。
ロシアでは計14工場を展開している。従業員数は4,000人強。同社は声明で、現地の
雇用を守るため、原料採掘から生産、販売に至る全事業を同地の経営陣に譲渡する考
えを示した。取引の成立にはロシア当局の承認が必要となる。
クナウフに対してはロシアに対する制裁を順守していないとの疑いが先ごろ、浮上し
た。独公共放送ARDは今月初旬、ロシアが占領しているウクライナのマリウポリで同
社の社名が記された石膏袋を見かけたとして、ロシアによるマリウポリ再建を支援し
ている疑いがあると報じた。同社は欧州連合(EU)、英国、米国の対露制裁をすべて
守っていると反論したものの、販売事業者を通して自社製品が同地で使われている可
能性については否定できなかった。ロシアからの撤退がこの報道を受けた措置かどう
かについてコメントを控えている。

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