エネルギー大手の独ユニパーは23日、鉄鋼大手の独ザルツギターにグリーン水素を
供給する事前契約を締結したと発表した。同水素はザルツギターが計画する水素製
鉄に投入される。
ザルツギターは本社所在地ザルツギターで低炭素製鉄プロジェクト「SALCOS」を実
施する。蒸し焼きにした石炭であるコークスを高炉で燃やす従来の方式を、還元剤
にグリーン水素を用いた方式へと改める。2026年から新製法で製造を開始し、粗鋼
を年190万トン生産。二酸化炭素(CO2)の排出量を年360万トン削減する。
同プロジェクトでは第1段階で年に最大15万トンの水素が必要となる。そのうち
9,000トンについては100メガワット(MW)級の電解槽を設置して自給。残りを外部
から調達する。
ユニパーは今回の契約で、早ければ28年から年に最大2万トンを供給することで合
意した。ドイツ北部のヴィルヘルムスハーフェン港に建設予定の200MW級の電解槽
でグリーン水素を生産。同国に敷設予定の水素中核輸送パイプライン網(H2ケルン
ネッツ)を通してザルツギターに供給する。ヴィルヘルムスハーフェン港とザルツ
ギターを結ぶパイプラインの完成が取引履行の前提条件となる。
ユニパーはヴィルヘルムスハーフェン港に計1ギガワット(GW)の電解槽を設置
し、水素を年10万トン生産する計画。同港にはこのほか、グリーンアンモニアの輸
入ターミナルを開設し、年30万トンの水素をH2ケルンネッツに供給する予定だ。