中部電力参画の独地熱プロジェクト、国際協力銀やみずほ銀が協調融資

中部電力は30日、同社とカナダ企業エバー・テクノロジーズがドイツで進める地熱発
電・地域熱供給プロジェクトに国際協力銀行(JBIC)など4行が協調融資を行うと発
表した。JBICは同プロジェクトが日本のエネルギー政策に寄与すると判断し、融資を
引き受けた。
エバーは2017年の設立で、クローズドループ地熱利用技術の独自技術「エバールー
プ」を持つ。中部電力は22年、エバーに資本参加し、同技術の商業化支援に乗り出し
た。
両社はエバーループ初の商業化プロジェクト「ゲーレッツリート地熱事業」を独南部
バイエルン州で進めている。地下およそ5,000メートルにループ4本を掘削・設置した
うえで、内部に水を循環させることで地下熱を効率的に取り出し、地上で発電や地域
熱供給を行うというものだ。出資比率はエバーが60%、中部電力が40%となってい
る。
1本目のループの掘削を昨年7月に開始しており、今年10〜12月に部分運転を開始す
る。26年7〜9月には全4本のループを完成させ、全面運転を始める。出力は発電が
8,200キロワット(kW)、熱供給が6万4,000kW。欧州連合(EU)イノベーション基金
から補助金9,160万ユーロの交付を受ける。
JBIC、欧州連合(EU)の欧州投資銀行、みずほ銀行および蘭ING銀行の東京支店は同
プロジェクトに総額1億3,100万ユーロの協調融資を行う。民間銀行の融資部分には日
本貿易保険(NEXI)の保険が付される。
中部電力は今回のプロジェクトを通して地熱事業に関する知見を獲得する。将来的に
国内で事業化する考えだ。日本政府は21年に発表した「エネルギー基本計画」で、地
熱発電の抜本的な導入拡大に向け革新的な新技術の開発に取り組む方針を示してい
る。

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