自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)が商用車子会社トレイトンの株式売却を検
討しているもようだ。内部情報としてブルームバーグ通信が13日に報じたもので、同
子会社の株価上昇を利用して売却益を確保する狙いという。VWの広報担当者は、時機
をみてトレイトンの浮動株比率を高めるための措置を取る可能性があるとしたアル
ノ・アントリッツ取締役(財務担当)の4月末の発言に言及したものの、それ以上に
ついてはコメントできないと回答した。
トレイトンはVWグループの商用車事業を統括する企業で、スカニア、MAN、ナビス
ター、VWトラック・アンド・バスの4ブランドを展開している。VWは同子会社の新規
株式公開(IPO)を2019年に実施し、株式11.5%を売り出した。
売り出し価格は27ユーロだった。株価はその後、この水準を下回っていたが、3月に
は30ユーロを突破。4月には過去最高の36.70ユーロを記録した。
VWはこの環境を利用してトレイトン株を部分放出する。5億〜10億ユーロを売却する
方向という。
商用車事業は乗用車事業と関連が薄くシナジー効果が小さい。このため競合ダイム
ラー(現メルセデスベンツ)は21年、商用車子会社ダイムラー・トラックのIPOを実
施。出資比率を年金基金も含めて35%に引き下げた。