日独などがEフューエルで協調、国際的な規則調整や標準確立に向け

合成燃料(Eフューエル)に関する多国間の意見交換フォーマットである「国際E
フューエル対話」が4日、ベルリンで開催され、主催国ドイツと日本、リトアニア
の3カ国が「ベルリン宣言」に署名した。合成燃料が航空機や船舶だけでなく自動
車を含むあらゆる交通・輸送手段の動力源として世界的に利用されるようにする考
えだ。独フォルカー・ヴィッシング交通相は、欧州域外の国と連携することの重要
性を強調。「規則が国際的に調整され、Eフューエルの国際標準を持てるようにし
なければならない。我々が必要とするのは国際市場であり、それは欧州連合(EU)
に限定されないルールによってのみ実現する。欧州だけではこのニーズをカバーで
きない」と明言した。
日本から参加した石井拓経済産業大臣政務官は、Eフューエルは温室効果ガスの排
出回避に役立つだけでなく、輸送・貯蔵しやすいという特性のおかげで再生可能エ
ネルギーのポテンシャルを、グローバルサウスを含む全世界で引き出すことができ
ると述べ、同燃料は脱炭素、経済成長、エネルギー安全保障の3つを同時に実現す
るうえで決定的に重要な役割を果たすと述べた。
Eフューエルは再生エネ電力で製造したグリーン水素に炭素を加えて製造する燃
料。炭素は大気中のものを用いることができるため、炭素中立の燃料として期待さ
れている。ただ、製造コストが高いうえ、供給量も当面、限られると予想される。
このため、EUの欧州委員会は電動化が難しい航空機や船舶に投入分野を制限したい
考えで、乗用車での利用に消極的だ。
ヴィッシング氏はこの問題をめぐり欧州委と対立し、火花を散らしている。全ドイ
ツ自動車クラブ(ADAC)との4日のインタビューでは、「国内で登録されているガ
ソリン・ディーゼル車4,500万台を(ドイツが炭素中立目標の達成期限とする)
2045年までに電気自動車で置き替えることは非現実的だ」と述べ、Eフューエルは
プラグマティックな解決策になるとの見解を示した。
国際Eフューエル対話は同氏の主導で立ち上げられたもので、第1回目の会合は23年
9月に独ミュンヘンで開催された。今回は2回目。次回はモロッコで25年夏に行われ
る予定だ。

上部へスクロール