電機大手の独シーメンスは13日、フランクフルト東部のフェッヒェンハイム地区にあ
るガス絶縁開閉装置(GIS)の新生産施設竣工式で、隣接地区にGISの新工場を確保す
ると発表した。六フッ化硫黄ガス(SF6ガス)フリーGISの生産能力を拡大する。
オストエンド地区のカールベンツ通りにある3.5ヘクタールの用地を、建築物を含め
て取得した。建築物の面積は1万5,500平方メートルで、内訳は生産ホールが1万3,000
平方メートル、事務棟が2,500平方メートル。2025年初頭から生産を開始する。投資
額は1億ユーロに上る。
オストエンド工場は敷地内に線路を持ち、外部の鉄道網に接続している。マイン川の
港湾(フランクフルト東港)にも面しており、物流環境が良い。フェッヒェンハイム
工場との距離は1キロと短く、同社は両工場を一体運営していく意向だ。
GISは電力の安全・安定供給のために変電所設備・受電設備として設置される機器。
絶縁媒体には通常、絶縁・電流遮断性能が高いSF6が使用される。ただ、SF6は二酸化
炭素(CO2)の何倍の温室効果を持つかを示す地球温暖化係数(GWP)が2万3,900と極
めて高いことから、温暖化防止排出抑制対象ガスの1つに指定されている。
こうした事情を背景にSF6を用いないGISの需要が高まっており、シーメンスもSF6フ
リーGISを強化中。オストエンド工場が操業を開始すると、SF6の替りに大気中の元素
からなる「クリーンエア」を利用した中電圧GIS「8DAB – blue GIS」の生産能力が拡
大する。