「内燃機関車の生産終了期限延長を」、アウディの従業員サイドが要求

独フォルクスワーゲン(VW)の高級乗用車子会社アウディで車両電動化計画の見直
しを求める声が従業員の間で強まっている。欧米の電気自動車(BEV)市場が伸び
悩むなかで需要が依然として大きい内燃機関車の製造・販売を計画通りに終了する
と、同社の販売台数が大幅に減少する懸念があるためだ。経済紙『ハンデルスブ
ラット』が14日付で報じた。
アウディの現行計画ではエンジンの開発を2026年で終了。内燃機関車の販売も欧州
連合(EU)で禁止となる2年前の33年から全面停止することになっている。インゴ
ルシュタット本社工場では30年から生産ラインがすべてBEV向けに切り替えられ
る。
従業員代表のイェルク・シュラークバウアー事業所委員長(監査役会副会長)は、
BEVに一本化するという戦略自体には問題がないとしながらも、内燃機関車からの
移行のスピードが速すぎると指摘。エンジン開発を継続し、30年7月から適用され
るEUの次期排ガス基準「ユーロ7」に対応したモデルを販売できるようにすべきだ
訴えた。エンジンの改良は内燃機関車の禁止計画がない主要市場の中国、米国向け
モデルでも行うべきだとしている。
競合BMWは車種をBEVに絞り込むことに従来から批判的な姿勢を示しており、内燃機
関車の販売終了年を設定していない。このためエンジン開発を継続。生産ラインも
内燃機関車とBEVを混流生産できるものとなっている。
メルセデスベンツは市場の動向によっては30年までに内燃機関車の販売を停止し、
BEVに特化する「エレクトリック・オンリー」方針を21年に打ち出したが、販売低
迷を受け先ごろ、柔軟に対応する方針へと修正した。
EUでは内燃機関車の販売を35年から禁止する政策の見直し要求が高まっている。同
政策に対する不満が今月上旬に実施された欧州議会選挙で極右が勢力を伸ばす一因
となったとみられるためだ。最大会派の欧州人民党(EPP)内では禁止延期論が浮
上している。

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