半導体の米オンセミ、チェコをSiCの生産拠点として強化

半導体大手の米オン・セミコンダクター(オンセミ)は19日、チェコを先進パワー
半導体向けシリコンカーバイド(SiC、炭化ケイ素)の生産拠点として強化する計
画を発表した。電気自動車(EV)や人工知能(AI)、再生可能エネルギー分野にお
ける世界的な需要の高まりに応える目的。新たに垂直統合型のSiC工場を設置し、
ウエハーの年産能力を現行の300万枚以上から400万枚以上に引き上げる。複数年に
わたる投資額は最大440億チェココルナ(約20億ドル)に上る。
オンセミはチェコ第2都市のブルノに自動車業界向けの設計デザインセンターを持
つほか、東部のロジュノフでウエハーとパワー半導体の工場を操業している。同国
は欧州のほぼ中央に位置しており、オンセミの生産拡充は欧州連合(EU)域内の半
導体安定供給にとり戦略的に重要な意味を持つ。ヨゼフ・スィーケラ産業貿易相
は、「オンセミの今回の投資は半導体分野におけるチェコの地位を強固にするだけ
でなく、(基幹産業の)自動車産業の発展にも貢献する」と述べた。
EUでは2023年9月、半導体の安定供給と輸入依存の低減を目的とする欧州半導体法
が発効した。30年までに官民で430億ユーロを投じ、域内の開発・生産能力を強
化。有力メーカーの誘致にも力を入れ、世界の半導体生産に占めるEUのシェアを現
在の約10%から30年には20%以上に引き上げる目標だ。

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