高級乗用車大手の独メルセデスベンツは内燃機関車の生産を2030年代も継続する意
向だ。電気自動車(BEV)の需要が想定していたほど増えていないためで、内燃機
関車を欧州でも販売していく。オラ・ケレニウス社長が『フランクフルター・アル
ゲマイネ』紙のインタビューで明らかにした。
同社は2021年7月、市場の動向によっては30年までに内燃機関車の販売を停止し、
BEVに特化する見通しを示した。プラグインハイブリッド車(PHV)を含む内燃機関
車の需要が大幅に減るようであればBEVへの一本化を30年までに実現できると判
断。規制が厳しい欧州では「エレクトリック・ファースト」から「エレクトリッ
ク・オンリー」へとギアチェンジできるとみていた。
だが、「電気自動車市場の成長は大半の人が3〜4年前に想定していたほど急速では
なかった」(ケレニウス氏)ことから、メルセデスは内燃機関車の販売を欧州も含
めて継続する見通しだ。厳格化する規制に見合ったエンジンの開発も継続する。
市場環境が整わなければエレクトリック・オンリーへの転換を見合わせることはこ
れまで明言してこなかったものの、その可能性自体は排除していなかった。ケレニ
ウス氏はこれを念頭に、「エンジンとそれに付随するトランスミッションを将来に
向けてフィットさせることは当初から計画の一部だった」と強調した。