三菱重工参加のCO2再利用プロジェクトが実証試験開始

三菱重工業は8日、同社が参加する鉄鋼大手アルセロール・ミタル主導の二酸化炭素
(CO2)再利用プロジェクトで実証試験が始まったと発表した。同試験に用いる三菱
重工提供のCO2回収装置とベルギー企業ディ・カーボンのプラズマ変換装置が接続し
た。
3社は製鉄で発生するCO2を回収し、鉄鋼や化学製品の原料となる一酸化炭素(CO)
に変換する技術の実証をベルギーのゲントにあるアルセロール・ミタルの製鉄所で行
う。三菱重工の回収装置が高純度のCO2をディ・カーボン開発のプラズマ変換装置に
供給。炭素(C)と酸素(O)の結合を同装置のプラズマの作用で分離し、CO2をCOに
変換する。
鉄鋼業界では脱炭素化に向け水素製鉄実用化の取り組みが進められている。ただ、原
料として用いる炭素中立のグリーン水素にはコストが高いといいう問題がある。製鉄
プロセスで発生するCO2を有効利用できればコストを抑制できる見通し。ディ・カー
ボンのギル・シェルジェンス最高経営責任者(CEO)は「将来的にグリーン水素の必
要性を制限し、エミッションフリー製品のコストを削減することができます。さら
に、生産されたCOの一部は近隣の化学会社に原料として供給可能です」と述べた。
三菱重工業は関西電力と共同開発したCO2回収技術「アドバンスドKM CDRプロセス」
を今回の実証試験に投入している。

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