独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は11日、電池子会社パワーコが米クアンタ
ムスケープ開発の全個体電池をライセンス方式で量産することで合意したと発表し
た。両社で合弁生産するとしたこれまでの計画を変更する。
クアンタムスケープはスタンフォード大学からのスピンオフとして2010年に設立さ
れた企業で、カリフォルニア州サンノゼに事業拠点を置く。VWは研究開発で同社と
12年から協力関係にあり、14年に資本参加。18年には量産化に向けて合弁会社を設
立した。
VWは1月、クアンタムスケープの全個体電池は劣化しにくいとする試験結果を発
表。今回のプレスリリースでは量産可能な時期が近づいているとの見解を示すとと
もに、技術が今後さらに進展すればパワーコは非独占的なライセンスの供与を受け
量産に踏み切る意向を表明した。年産能力は40ギガワット時(GWh)で、80GWhに引
き上げることを視野に入れている。80GWhは電動車100万台分に相当する。
クアンタムスケープのシバ・シヴァラム最高経営責任者(CEO)は「わが社の最先
端技術と生産・産業化分野におけるパワーコのノウハウを組み合わせるこの取引
は、省資本事業戦略の青写真になる」と述べた。合弁方式からライセンス方式に変
更することで電池開発に注力する狙いがあるもようだ。VWにとっては全個体電池の
商業生産と自社モデルへの搭載を加速できるメリットがある。