炭素差額契約の初入札、申請総額は補償枠を上回る53億ユーロに

化石燃料を用いた従来型の技術で生産する競合製品とのコスト差額を国がメーカーに
補償する「炭素差額契約(CCfD)」の締結に向けてドイツで初めて実施された入札で
応募件数が計17件に上ったことが分かった。助成申請額は合わせて53億ユーロで、補
償枠(40億ユーロ)を上回る。すべての応札が入札条件を満たしていた場合、国は落
札者を選別することになる。経済・気候省の第1次中間報告をもとに『フランクフル
ター・アルゲマイネ』紙が報じた。
化学や鉄鋼、製紙などエネルギー集約型産業の製造工程ではこれまで化石燃料が大量
に使われてきた。政府はこれをグリーン水素など炭素中立のエネルギーに改めること
で、経済の脱炭素化を進める意向だ。
ただ、グリーン水素などを生産に用いると価格競争で不利になることから、国はCCfD
を通してメーカーを支援。企業の脱炭素投資を促進するとともに、関連技術を発展さ
せて脱炭素投資の低コスト化を図る意向だ。国内の水素インフラを構築しドイツを
「主導的なグリーン市場」にする狙いもある。国の「気候・トランスフォーメーショ
ン基金(KTF)」を通して助成を行う。
CCfD入札では助成申請額が最も低い企業が優先的に落札し、国と契約を結ぶことにな
る。入札に参加するためには、電力をすべて再生可能エネルギーで賄わなければなら
ない。また、使用する水素は欧州連合(EU)のタクソノミー(気候変動など環境問題
の解決に貢献する持続可能な経済活動を6つの目的に分類したEU独自の基準)を満た
したものでなければならない。
今年は同入札を2回、実施する。初回となった今回は11日に応募が打ち切られた。10
月初旬に落札者が決まる見通し。2回目は補償枠が190億ユーロで、秋に行なわれる。

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