粗鋼生産底打ちも需要はなお低調

独鉄鋼業界団体シュタールが17日に発表した上半期の粗鋼生産高は1,936万トンと
なり、前年同期を4.5%上回った。ロシアのウクライナ侵略に伴う大幅な需要減に
歯止めかかかった格好で、ケルスティンマリア・リッペル専務理事は、「深い谷を
ようやく越えたもようだ」と述べた。ただ、その一方で、主要な顧客産業である機
械、自動車、建設の景気低迷を背景に鉄鋼需要には依然としてインパクトが欠ける
と指摘。需要の回復が持続するかどうかは分からないと慎重な見方を示した。
国際的にみて割高なエネルギーコストも同国鉄鋼業界の大きな問題となっている。
リッペル氏は、過去最高となった2022年、23年に比べると電力料金は低下したもの
の、危機前に比べなおも2倍の水準に高止まりしていることを指摘。米国や中国だ
けでなく、同じ欧州のフランス、スペインに比べても価格が高いとして、政府に速
やかな対策を強く促した。
上半期の粗鋼生産の内訳をみると、高炉鋼は前年同期比2.7%増の1,347万5,000ト
ン、電炉鋼は8.7%増の588万5,000トンとともに拡大した。銑鉄は2.7%増の1,244
万2,000トン、熱間圧延鋼材は3.0%増の1,671万8,000トンだった。
6月の粗鋼生産高は前年同月比8.9%増の318万7,000トンに拡大した。増加は2カ月
ぶり。今年は5月を除いてすべて前年同月を上回っている。
高炉鋼が4.1%増の217万3,000トン、電炉鋼が20.8%増の101万4,000トンに拡大し
た。銑鉄は4.4%増の200万7,000トン、熱間圧延鋼材は6.7%増の277万1,000トン
だった。

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