ライフサイエンス大手の独メルクは24日、遺伝子治療研究所(GTRI)とパーキンソ
ン病向け遺伝子治療医薬品の製造促進に関する基本合意書を締結したと発表した。
バイオプロセスの安全性プロファイルを向上させるメルクのラブドウイルス陰性細
胞株「Sf-RVN Insect Cell Line」を使用して、GMP(医薬品の製造管理および品質
管理の基準)を満たす環境で、ウイルスベクター遺伝子治療医薬品を製造するため
のプロセス開発と製造をサポートする。
GTRIは2014年設立のバイオ企業で、ウイルスベクターの一種であるアデノ随伴ウイ
ルス(AVV)を介した遺伝子治療の臨床を手がけている。パーキンソン病と筋萎縮
性側索硬化症(ALS)を中心に、有効な治療法が確立していない難治性疾患への遺
伝子治療技術導入に取り組んでいる。
メルクは今回の基本合意の一環で、GTRIと連携して製造をスケールアップするため
のAVV生産プラットフォームを構築する。これにはメルクの細胞株とプラット
フォーム技術の使用も含まれる。また、東京の協業拠点M Labコラボレーションセ
ンターでGTRIにプロセス開発のための技術サポート、トレーニング、プロセス最適
化を提供する。
GATIの浅井克仁最高経営責任者(CEO)は、「私たちが直面している最大の課題
は、患者さんへのDNA導入に使用されるウイルスベクターの強固で安全な製造体制
の確立、特に大規模製造にスケールアップするためのプロセス開発です。メルクと
のコラボレーションにより、プロセスを最適化し、治療薬をより早く市場に投入で
きるよう貢献したいと思います」と述べた。