中国メーカーの電気自動車(BEV)がドイツで大きくブレイクする可能性は少なく
とも当面、低いもようだ。消費者の評価が低調なためで、コンサルティング会社ビ
アリング・ポイントと経済紙『ハンデルスブラット』が実施した共同調査では最下
位を占めた。
調査ではBEVを保有するか購入を検討する2,000人強にアンケートを実施。その回答
と車両などの客観的なデータをもとに評価を下した。独内外の計12ブランドを対象
としている。
それによると、総合1位はフォルクスワーゲン(VW)で、評価点は111.5に達した。
これにアウディが111.3、メルセデスが110.9で続いており、トップ3を独ブランド
が独占した。4位は米テスラ(103.8)、5位はポルシェ(103.7)、6位は現代
(102.1)、7位はBMW(101.4)、8位はオペル(96.3)、9位は仏ルノー(96.2)
だった。中国ブランドはMGが91.7で10位、BYDが89.6で11位、GMWが87.8で12位と
なっている。
項目別でみると、平均価格ではルノーが3万2,475ユーロで最も安く、1位となっ
た。中国勢は3万ユーロ台後半〜4万ユーロ台半ばにとどまっており、価格面では順
位が高い。一方、高級ブランドであるアウディ、BMW、メルセデス、テスラは7万
ユーロ台と価格が高い。また、ポルシェはダントツで高く、9万2,800ユーロに達し
た。
走行100キロメートル当たりの電気代ではGWMが最も安く、平均5.12ユーロにとど
まった。他の11ブランドはすべて6〜7ユーロ台となっている。
航続距離ではメルセデスの631キロが最も長かった。これにポルシェが603キロ、テ
スラが555キロ、アウディが535キロ、BMWが499キロで続いており、上位はすべて高
級ブランドだった。中国勢はBYDが454キロとやや長いものの、そのほかは300キロ
台前半にとどまる。
デジタル装備の革新度の分野ではメルセデスとBMWが同率1位となった。回答者の
77%が両ブランドを「イノベーション度が高い」としている。一方、中国3ブラン
ドはすべての50%台にとどまり、ボトム3を占めた。
「ブランドへの信頼感」ではメルセデスが78%で1位となった。独ブランドはオペ
ル(63%)を除いてすべて70%を上回っている。輸入ブランドでは現代の68%が最
も高く、テスラとルノーはともに61%だった。中国ブランドはBYDが48%、MGが
41%、GMWが39%と極端に低い。
BEVの購入に際して重視する点に関しては、価格が62%で最も多かった。これに航
続距離が60%、電気代が57%、ブランドへの信頼感と充電網の密度が各56%で続い
た。中国車は価格が低いものの、それだけでは「選ばれる車」になれないことが、
今回の調査で浮き彫りになった。