水素輸入戦略を閣議了承、巨大な量の安定調達に向け

ドイツ政府は24日の閣議で「水素と水素誘導体の輸入戦略」を了承した。水素経済
の立ち上げに必要な輸入の枠組みを明確化したもので、水素・誘導体の製造、輸
送、利用の基本指針を示した「国家水素戦略(NWS)」を補完するものと位置付け
ている。ロベルト・ハーベック経済・気候相は「わが国の国外パートナーに明確な
信号を送る。つまり、ドイツは国内で水素と誘導体の大きく安定した需要を見込ん
でいること、そして信頼できるパートナーであり水素製品の標的市場であること
を。そうすることで輸入戦略は、パートナー諸国での水素生産、輸入に必要なイン
フラ構築、需要家である独製造業に投資のための信頼感を創出する」と狙いを語っ
た。
NWSでは水素と誘導体の国内需要が2030年に95〜130テラワット時(TWh)に達する
としたうえで、その約50〜70%に当たる45〜90TWhを輸入で賄う見通しが示されて
いる。風力と太陽光資源が潤沢とは言えないドイツで国内需要を自国産のグリーン
水素ですべてカバーすることはできないという事情が背景にある。輸入量は年々増
加していき、45年には水素で360〜500TWh、誘導体で約200TWhに達する見通しだ。
こうした巨大なニーズに対応するため、政府は輸入戦略を策定した。十分な量の水
素を多様な供給元から安定的に調達できるようにする。
輸入する水素の種類については再生可能エネルギーと水で製造するグリーン水素を
最重視するものの、水素経済を速やかに立ち上げるため低炭素水素も対象に加え
る。政府が支援する製品の種類に関しては水素、アンモニアやメタノールなどの水
素誘導体、液体有機水素キャリア(LOHC)などのキャリア媒体を挙げている。輸入
の輸送手段としてはパイプラインと船舶を併用。必要なインフラを構築していく。

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