独外務省は7月31日、在ドイツ中国大使を呼び出し、厳重な抗議を行った。独連邦地
図・測地局(BKG)を標的とした2021年末のサイバー攻撃が中国政府によるものであ
ることが、技術的な分析で判明したためだ。同省の報道官は「国のコントロールを受
けた中国のハッカーがBKGのネットワークにスパイ目的で侵入したことを今日、わが
国は把握している」と明言した。外務省が中国の大使を呼び出したのは天安門事件が
起きた1989年以降で初めて。
BKGは地理データを提供している。エネルギーや水道、交通など重要インフラの設置
に必要不可欠なものであることから、サイバー攻撃の標的になったとみられる。
独内務省によると、ハッカーは身元を隠すため、私人と企業の端末を不正に使用して
BKGのネットワークに侵入した。ハッカーはすでに撃退されているという。ナン
シー・フェーザー内相は「連邦官庁に対するこの深刻なサイバー攻撃は中国のサイ
バー攻撃とスパイ活動のリスクがいかに大きいかを示している」と強調した。
独憲法擁護庁によると、中国はドイツに対するスパイ活動を最も活発に展開する国の
1つで、ロシア、イラン、トルコとともに4大国の一角をなしている。サイバー攻撃で
は産業・地政学的な政策目標に役立つ情報の収集を行っているという。