独賃貸住宅最大手のヴォノヴィアは1日の決算発表で、保有する不動産の6月末時点
の時価が824億6,470万ユーロとなり、前年同日比の下げ幅が1.7%にとどまったこ
とを明らかにした。債務の圧縮に向けた保有住宅の売却でも簿価をやや上回る取引
となっており、ロルフ・ブーフ社長は「価値下落の局面は終わった」と明言。遅く
とも来年からは住宅の取得など成長路線に再転換する意向を表明した。
不動産市場は欧州中央銀行(ECB)がインフレ対策として2022年に急速な利上げへ
と転じたことなどが響き急速に冷え込んだ。ヴォノヴィアはその直撃を受け、保有
資産の評価額を22年半ばからこれまでに23%も引き下げた。23年12月期には巨額純
赤字(67億5,620万ユーロ)の計上を余儀なくされた。
24年6月中間期も5億2,900万ユーロの純赤字となったものの、赤字幅は前年同期比
で87.2%縮小した。
同社は今年、30億ユーロの住宅売却を計画している。ベルリン州の保有住宅を同州
に約7億ユーロで譲渡するなど、計画は順調に進んでいる。需要は回復しており、
「買いたたく目的でわが社に電話してくる輩」(ブーフ氏)はいなくなったとい
う。
住宅の借り手の需要も旺盛で、保有物件の稼働率は100%に近い。1平方メートル当
たりの家賃は3.7%上昇し7.86ユーロとなった。
業績改善を受け、経営陣は24年12月期の営業利益(EBITDA、調整済み)が予想レン
ジ(25億5,000万〜26億5,000万ユーロ)の上限付近に達する見通しを明らかにし
た。6月中間期の同利益は前年同期比2.6%減の12億6,650万ユーロだった。