半導体大手の独インフィニオンは5日、従業員数の削減方針を明らかにした。市場の
低迷を受けて5月に打ち出したコスト削減プログラム「ステップアップ」を具体化し
たもので、全世界の従業員5万9,000人のうち1,400人を削減する。また、北米とアジ
アの高賃金国から人件費の低い国に1,400人分の雇用を移す。ドイツ本国では整理解
雇を行わないものの、東南部レーゲンスブルクの拠点では数百人が削減される。
同日発表した2024年4-6月期(第3四半期)決算の営業利益は前年同期比31%減の7億
3,400万ユーロと大きく落ち込んだ。主力の自動車向けを含む4部門すべてで減少。売
上高は9%減の37億200万ユーロで、売上高営業利益率は前年同期の26.1%から19.8%
へと低下した。税引き後利益は52%減の4億300万ユーロだった。
コロナ禍に伴う半導体不足を受け、幅広い顧客産業で在庫の積み増しが行われた。現
在はその取り崩し局面に当たることもあり、需要が鈍い。ヨッヘン・ハーネベック社
長は、主要市場の回復のスピードが従来の予想よりも遅いと述べた。その一方で、市
場はすでに底を打ったと指摘。自動車の電動化や再生可能エネルギー電力の増加、人
工知能(AI)の利用急増を背景とするデータセンターの省エネニーズなど中長期的な
プラス材料を挙げ、「インフィニオンにとって構造的な成長のチャンスは変わらな
い」と先行きに自信を示した。