ポーランド企業、衛星燃料補給システムを開発

ポーランドのロボティクス企業PIAPスペースがこのほど、ウカシェヴィチ航空研究
所と共同で、人工衛星の軌道上燃料補給システムを開発するINORTプロジェクトを
スタートさせた。燃料枯渇を避けることで衛星の寿命を延ばし、持続可能な宇宙開
発に貢献する狙い。燃料補給を想定していないモデルにも対応できるようにする目
標だ。欧州宇宙機関(ESA)の助成を活用する。
欧州ではこれまでのところ、飛行中の衛星に燃料を補給する技術の規格がない。
INORTは、包括的なロードマップを策定して軌道上燃料補給の実現を担うプロジェ
クトとして位置付けられる。具体的には、近傍運用、ドッキング、燃料補給、切り
離しの各技術からドッキングの用意がない飛行体との結合システム、軌道上で正確
に任務を遂行できるロボットアームに至る一連の開発作業に取り組む。重点を軌道
上操作および燃料補給に置くことで、軌道上サービスの可能性を広げられると期待
される。
ウカシェヴィチ航空研究所の宇宙技術センターは、コネクタや推進剤移送手順など
燃料補給技術の開発を担当する。やはり航空研究所傘下の無人機運行センターは、
衛星の位置を特定する光電センサー開発、ドッキング及びドッキング後の操作手順
の精緻化を受け持つ。
PIAPスペースは2017年にワルシャワで操業。宇宙産業向けロボットの開発を手がけ
る。22年には、米航空宇宙局(NASA)とESAが共同で火星の岩石標本の採取・回収
に取り組む「マース・サンプル・リターン」ミッションの採取ローバー用シャーシ
のプロトタイプを製作した。また、ESAの軌道上サービス向けロボットアーム開発
プロジェクト「TITAN」の元請業者でもある。
今年1月にはESAの月着陸ミッション「Agronaut」に関連し、同社が試作したロボッ
トアームが試験段階に入ると発表された。採用が決まれば、着陸船から月面に貨物
を搬出するシステムに組み込まれる。

PIAPスペース社ホームページ
https://piap.space/

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