セルビア、フランス製戦闘機を導入

セルビアがフランスから多目的戦闘機ラファール12機を調達する。エマニュエル・
マクロン仏大統領が同国を訪問した8月29日に契約したもので、関連サービスを含
めた取引額は27億ユーロ。2029年までに納入が完了する予定だ。
ロシアとの友好関係を維持するセルビアに対しては欧州連合(EU)などから批判の
声があがっているが、マクロン大統領は今回の契約がセルビアの「戦略転換」、
「欧州のチャンス」につながると話し、同国が欧州連合(EU)加盟を希望する立場
を表明した。両国は原子力・送電、農業、環境、建設、鉱山、保健、学術、技術開
発、電気通信、観光の分野でも提携する方針だ。
セルビアは軍の保有する旧ソ連製戦闘機を更新する目的でラファールを発注した。
ラファールは空対地、空対艦、防空、制空、偵察といった多様な目的に対応でき
る。製造元のダッソーによると、受注した12機のうち9機が単座型、3機が複座型。
ロジスティクス、保守サービスも契約に含まれる。
セルビアは、アレクサンドル・ヴチッチ大統領の権威主義的な政治スタイルとロシ
アのウラジーミル・プーチン大統領との緊密な関係が批判されている。2012年にEU
の加盟候補国となったが、22年のロシアによるウクライナ侵攻後もロシアとの友好
関係を維持。対ロ制裁に加わるようにというEUの再三の求めにも応じていない。
一方でEUは今年7月、リチウム開発および電動車用バッテリー分野での提携でセル
ビアと合意。環境への懸念を理由に一旦中止されたリチウム開発を再開することと
なり、周辺住民を中心に国民が強く反発している。

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