社用BEVに税優遇、独政府が閣議了承

ドイツ政府は4日の閣議で、企業が社用車として購入する電気自動車(BEV)に対す
る税優遇方針を了承した。低迷する経済を底入れする政策の一環。昨年12月の購入
補助金打ち切りで急減したBEVの国内販売をテコ入れする。
急速税務減価償却の適用と、所得税優遇の対象となるBEV価格の引き上げを通して
企業と社員の税負担を軽減する。
社用車を購入した企業は初年度にコストの40%を減価償却(コスト計上)できるよ
うになる。このため、納税額が減少する。7月1日にさかのぼって同ルールを適用。
2028年末まで利用できる。
ドイツでは社用車を社員が私的に利用することが認められている。ただ、これは雇
用主からの非金銭的な便宜に当たるため、社用車をあてがわれる社員の課税所得に
は便宜の相当額が加算される。加算方法は(1)車両のカタログ記載価格の1%を毎
月の課税所得に上乗せする(2)運行記録をつけ、私的目的で走行した距離の分だ
けを上乗せする——の2つがあるものの、(2)は手間がかかり面倒なことから、大
半の人は(1)の「1%ルール」を選ぶ。
BEVでは同0.25%の優遇税率が適用されている。対象は現在、カタログ価格が7万
ユーロまでの車両に制限されているが、政府はこれを9万5,000ユーロに引き上げる
意向だ。これまで対象外だったポルシェ「マカン」、メルセデス「EQE SUV」、BMW
「i5」などの高級車も恩恵を受けられるようになることから、BEVの販売不振に悩
む独自動車メーカーにとってもメリットは大きい。

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