ドイツ連邦陸運局(KBA)が4日に発表した8月の乗用車新車登録台数は19万7,322台
となり、前年同月を27.8%下回った。減少は2カ月連続。電気自動車(BEV)の激減
が全体を特に強く押し下げた。欧州連合(EU)の型式認定ルール変更に伴う駆け込
み需要の反動も前月に引き続き響いた。コロナ禍前の2019年同月比では減少幅が
37.1%に達する。
1〜8月の累計は190万7,226台で、前年同期を0.3%下回った。19年同期に比べると
23.6%少ない。
8月の新車登録を動力源の種類別でみると、BEVは前年同月比68.8%減の2万7,024台
となり、7カ月連続で縮小した。比較対象の23年8月はBEV購入補助金の支給対象が
翌月から一般消費者に制限されることを見据え、企業の駆け込み需要が殺到(前年
同月比170.7%増)しており、今年8月はその反動が出た格好だ。BEV補助金が昨年
末に全面打ち切りとなったことは追い打ちをかけた。
プラグインハイブリッド車(PHV)も6.8%減の1万3,565台に後退した。PHVを含む
ハイブリッド車(HV)は1.5%減の6万9,344台だった。ガソリン車(7.4%減の7万7
台)とディーゼル車(24.4%減の2万9,974台)も振るわなかった。
シェアをみると、BEVは前年同月の31.7%から13.7%へと大幅に低下。PHVは5.3%
から6.9%に上昇した。HVは25.7%から35.1%へと大きく伸びている。ガソリン車
は7.9ポイント増の35.5%、ディーゼル車は0.7ポイント増の15.2%だった。BEVと
PHVの合計のシェアは20.6%(前年同月37.0%)、BEVとHVは同48.8%(57.4%)と
なっている。
走行1キロメートル当たりの新車の二酸化炭素(CO2)排出量は平均117.9グラム
で、前年同月から23.7%増加した。BEVの激減が響いた。
新車登録の下げ幅が最も大きかった部門は超小型車で、71.2%に達した。これにス
ポーツ車が52.4%、大型車が41.7%で続いた。増加したのは中大型車(44.0%増)
とキャンピングカー(14.6%増)だけだった。
シェアではSUVが32.1%(前年同月33.8%)となり、これまでに引き続き断トツの1
位を保った。2位はコンパクトカーで、前年同月の16.5%から16.8%に拡大。3位の
小型車も11.4%から13.2%に伸びた。4位はオフロード車で10.6%、5位は中型車で
8.7%だった。
■中国勢は軒並み激減
伸び率が最も大きかったブランドは英モーガン(台数12台)で、140.0%に上っ
た。台数自体が少ないことから、増加数が少ないにもかかわらず増加率が大きく
なった。2位は米ルシード(44.4%増の13台)、3位は英ロータス(37.0%増の37
台)となっている。
ドイツ車はすべて減少した。各ブランドの実績はMANが7.1%減の105台、メルセデ
スが15.5%減の1万9,437台、オペルが17.1%減の1万2,142台、ポルシェが18.0%減
の1,895台、BMWが23.0%減の1万6,140台、VWが23.3%減の3万5,359台、フォードが
28.0%減の8,418台、アウディが36.6%減の1万3,550台、ミニが44.6%減の2,619
台、スマートが77.9%減の650台だった。
日本車ではレクサスが17.0%増の510台、三菱が7.1%増の1,867台と好調だった。
トヨタ(12.3%減の6,800台)、スズキ(18.4%減の2,232台)、ホンダ(25.5%減
の595台)、日産(27.5%減の1,989台)、マツダ(30.6%減の2,684台)、スバル
(33.0%減の364台)は前年同月を下回った。
日本車以外の主な輸入ブランド(シェア1%以上)をみると、ボルボ(18.8%増の
3,934台)とプジョー(16.9%増の4,875台)は増加。シュコダは横ばいの1万4,451
台だった。シトロエン(21.3%減の2,981台)、セアト(26.3%減の1万593台)、
現代(31.5%減の7,954台)、ダチア(38.1%減の4,502台)、起亜(38.5%減の5,
450台)、ルノー(45.2%減の3,672台)、フィアット(53.2%減の4,057台)、テ
スラ(65.7%減の2,370台)は落ち込んだ。
中国のMGロエベは75.8%減の594台、GWM(長城)は88.7%減の249台、BYD(比亜
迪)は89.3%減の218台、NIO(蔚来)は91.5%減の35台、リンク・アンド・コーは
98.9%減の2台、アイウェイズ(愛馳)は100.0%減の0台とそろって振るわなかっ
た。シャオペン(小鵬)は33台、ベトナムのビンファストは23台だった。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した8月の国内乗用車生産台数は31万
3,700台となり、前年同月を24%上回った。輸出台数は36%増の24万1,200台と伸び
率がさらに大きい。1〜8月の累計は生産台数が前年同期比2%減の272万3,100台、
輸出台数が2%増の211万5,900台だった。