キール世界経済研究所(IfW)は4日、ドイツの国内総生産(GDP)成長率が今年、
物価調整後の実質でマイナス0.1%になるとの予測を発表した。6月の前回予測では
0.2%のプラス成長を予測していたが、回復を見込んでいた個人消費の低迷が続い
ているうえ、製造業と建設業がリセッションにはまり込んでいることから、下方修
正した。GDPは昨年も0.3%縮小しており、ドイツは2年連続のマイナス成長となる
見通しだ。
シュテファン・クーツ景気調査主任は、「経済政策が信頼できる方向転換を打ち出
せないでいる」ことも経済低迷長期化の原因になっているとの認識を示した。ドイ
ツ経済はロシアのウクライナ侵略を受け、ロシア産の安価な天然ガスに依存する成
長モデルがにわかに終焉。新たなモデルを見つけられないでいる。電力の全面的な
再生可能エネルギー化やクリーンな水素のよる天然ガスの置き替えには長い時間が
かかる。
モーリッツ・シュライリック所長は、伝統的な主力産業が経済の枠組み条件の変化
に対応できていないと指摘。ドイツ経済が陥っている危機は景気変動という一過性
のものではなく、構造的なものだと明言した。また、難民の受け入れ抑制に向けた
現在の論議が国外からの専門人材獲得を難しくしていることにも懸念を示した。