在日ドイツ商工会議所は25日、会員企業を対象に今月上旬に実施したアンケート調査
結果を発表した。岸田首相の後任を決める自民党の総裁選挙が27日に行なわれること
を踏まえ、岸田政権に対する評価と次期政権への期待・要望を質問。多くの企業から
率直な意見が寄せられた。
岸田政権への評価では「満足」との回答が15%にとどまり、「不満」の38%を大幅に
下回った。自由記述回答を見ると、「主に外交と軍事に注力していた。労働力の増加
と賃金の上昇を除き、官僚主義の近代化や経済競争力、女性のビジネス支援、過去最
低の出生率にはあまり重点が置かれていなかった」(自動車部品メーカー)、「『新
しい資本主義』については具体的な内容や実行計画が曖昧である。少子化対策、賃上
げについても未だ道半ばで、今後の道筋もなかなか見えてこない」など手厳しい回答
が目立つ。そうしたなか、「民主主義国家とルールに基づく秩序にとって難しい時代
のなかで、日本の国際的な存在感を非常にうまく示していた」という肯定評価もあっ
た。
次期政権の国内政策上の優先課題では、「経済・財政改革」との回答が最も多く68%
に上った。これに「構造改革と労働市場改革」(59%)、「技術革新と産業革新」
(54%)、「エネルギー戦略」(52%)、「社会・人口問題」(50%)が続いた。外
交政策では「戦略的同盟関係の強化」(68%)、「地域の安全保障と防衛」
(64%)、「移民と人口問題」(50%)がトップ3だった。
自由記述では女性や移民の活用など労働力不足対策を求める声が多かった。人材確保
に苦労していることがうかがわれる。「ものづくり日本としての生産、開発、技術
力、品質力で世界を再びリードしていけるように産業構造改革、産官学、企業間の連
携強化等、弱い国日本の脱却を目指していただきたい」(電機メーカー)など「日本
産業の復活」を期待する声もあった。ある機械メーカーは円安を是正し「130〜140円
台にもっていく」ことを要望している。