パワートレイン大手のヴィテスコ・テクノロジーズは26日、2024年12月期のフリー
キャッシュフロー予測を引き下げた。同社が自動車部品大手コンチネンタルの事業
部門だった時期に行われていた排ガス不正に絡みコンチネンタルに発生したコスト
をヴィテスコが負担することで合意が成立したことを受けたもの。従来予測のマイ
ナス4億ユーロからマイナス5億2,500万ユーロに下方修正した。
排ガス不正は、台上試験では自動車の排ガス浄化装置が適切に働くものの、路上走
行では働かず、許容値を超える有害物質が排出されていた問題。エンジン制御装置
用ソフトウエアに台上試験と路上走行の違いを認識する機能が搭載されていた。
そうした機能がVWグループの車両に搭載されていたことが15年に発覚。他のメー
カーの車両にも同様の機能があることがその後、次々と明らかにされていった。
コンチネンタルの旧パワートレイン部門(現ヴィテスコ)は07年以降、これら完成
車メーカーに1,200万個以上のエンジン制御装置とソフトを供給してきたことか
ら、独検察当局は捜査を実施。今年4月に1億ユーロの過料支払いをコンチネンタル
に命じた。
コンチネンタルはこの費用の負担をヴィテスコに求め、交渉してきた。21年のヴィ
テスコ分社化契約で、旧パワートレイン部門の全リスクをヴィテスコが引き継ぐこ
とになっていたためだ。
ヴィテスコは今回の合意で、コンチネンタルに総額1億2,500万ユーロを支払うこと
が決まった。支払い額がコンチネンタルに課された過料(1億ユーロ)を上回るの
は、事実関係の調査費用が加算されたため。7-9月期に計上する。
ヴィテスコは27日には本業の業績予測も引き下げた。自動車市場の悪化を受けたも
ので、売上高をこれまでの「425億〜435億ユーロ」から「400億〜420億ユーロ」に
下方修正。売上高営業利益率(EBIT、調整済み)も「4.9〜5.4%」から「3〜4%」
に引き下げた。