雇用情勢の悪化が鮮明になってきた。9月の失業者数は前月を下回ったものの、季
節要因を加味したベースでは増加。操短や人員削減を計画する企業も多く、労働市
場が改善する見通しは立たない状況だ。Ifo経済研究所のエコノミストは「ドイツ
経済の構造問題の影響が労働市場に徐々に表れている。企業は人員削減を頻繁に検
討するようになっている」と述べた。
連邦雇用庁(BA)が27日に発表した9月の失業者数は280万6,000人となり、前月を6
万6,000人、下回った。夏季バカンスシーズンが終了したことが大きく、季節要因
を加味したベースでは1万7,000人増加。前年同月比(非調整ベース)では増加幅が
17万9,000人に上った。
失業率は6.0%(非調整ベース)となり、前月を0.1ポイント下回った。前年同月に
比べると0.3ポイント高い。
国際労働機関(ILO)基準の8月の失業率は3.8%となり、前月を0.1ポイント上回っ
た。
9月の求人件数は69万6,000件で、前年同月に比べ6万5,000件、減少した。求人指数
BA-X(2015年=100)は前月を1ポイント下回る107。前年同月に比べると9ポイント
低い。
9月1日から23日までの期間に企業が労働局に提出した操短計画の対象者数は6万
5,000人に上った。前月同期の4万人から63%も増えている。9月全体では、今年最
高となった4月(7万4,000人)を上回る見通しだ。
こうした状況を反映し、Ifoが同日発表した9月の雇用計画指数(15年=100)は前
月を0.8ポイント下回る94.0となり、コロナ禍初期に当たる20年7月以来の低水準へ
と落ち込んだ。DI(ディフュージョン・インデックス)ベースで示されている各部
門の指数をみると、流通業と製造業はそれぞれマイナス18.0ポイント、マイナス
17.6ポイントと特に低い。消費と新規受注の低迷長期化が反映されている。