墺鉄鋼大手フェストアルピーネ、経営不振の独子会社を売却

鉄鋼大手の墺フェストアルピーネは23日、経営不振の独子会社ブデールス・エーデ
ルシュタールを経営再建に特化した独投資会社ムタレスに売却することで合意した
と発表した。高性能金属部門の競争力を強化する狙い。取引金額は明らかにしてい
ないが、7-9月期(第2四半期)に5,000万ユーロの売却損を計上する。独禁当局の
承認を得たうえで取引が年内に完了すると見込んでいる。
ブデールス・エーデルシュタールはフランクフルトの北およそ60キロのヴェッツ
ラーに本社を置く老舗メーカーで、2007年にフェストアルピーネの傘下に入った。
自動車や機械、工具向けに標準・特殊鋼を生産している。従業員数は1,130人。24
年3月期の売上高は3億6,200万ユーロだった。
経営不振が続いていることから、フェストアルピーネは売却先を模索してきた。ブ
デールス・エーデルシュタールが属する高性能金属部門では今後、高度な技術を要
する製品分野を強化し、汎用的な工具鋼・工業用鋼事業を縮小していく。
ムタレスはブデールス・エーデルシュタールの買収後、生産プロセスの最適化とコ
スト構造のスリム化に向け人員削減を行う意向を表明している。
フェストアルピーネは今月中旬、自動車向け事業の不振を受け独生産体制の再編方
針を打ち出したばかり。車両向けに鉄鋼とアルミニウムのスタンプ加工・成形部品
を製造するビルケンフェルト工場を閉鎖する意向だ。

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